カンパール半島の泥炭森林における景観レベルの回復
ペトラス・グナルソ博士 ― エイプリル社環境保全部長
私たち皆が承知しているように、インドネシアの泥炭地には世界有数の繊細な生態系が存在しており、その中でもカンパール半島は東南アジア最大の泥炭地エリアのひとつでもあります。
先頃、私がそこを訪れた際に、リアウ環境回復(RER)の実施場所において、豊かな生物多様性が効果的に保護され、回復されていることを自分の目で確かめました。
しかしながら、これは常にそうだったわけではありません。2013年まで、長年にわたる選択的伐採によりカンパール半島の森林エリアは破壊されていました。また、商業的農業や火災による泥炭湿地の流出によって土地が荒廃し、この繊細な生態系も危機に瀕していました。
2013年に開始したRERは、インドネシアのリアウ州に位置するカンパール半島の生態系的に重要な泥炭地を回復することを目的とした長期プロジェクトです。以来、本プロジェクトは2万ヘクタールから7万ヘクタールへとその対象を拡大してきました。
環境林業省による環境回復ライセンスの下、パートナーと協力し、現地コミュニティと共同で、この重要な景観を保護、評価、回復、管理しています。これは当社の持続可能性に関連するプログラムの重要な部分を形成すると同時に、実施中の環境保護の取組みの生きた手本を示すものです。
私はしばしばこのプロジェクトの背後にある動機について尋ねられますが、それについては環境面、商業面の両方でいくつかを挙げることができます。重要なのは、景観保護のためにするべき行動であり、カンパール半島の泥炭ドームの保護は、より広域な景観に多大な恩恵をもたらすということです。
RERはまた、私たちの持続可能性への取組みにも寄与しており、現地の雇用市場を多様化し、プロジェクトに付随して成長する小規模ビジネスのエコシステムを通じて農業に代わるものを提供しています。これは森林破壊に立ち向かうために役立つと同時に、水、酸素、多くの野生生物といった環境の恩恵を受けることもできます。
持続可能な森林モデルの一部としての泥炭地の保全や回復は、私達が負う環境的責任であると同時に、将来性のあるビジネスケースでもあると考えます。これが、私たちが今後さらに探求し、発展させたい分野です。
私たちのビジネスに環境をあてはめるのではなく、私たちのビジネスがすでにそこにある環境の一部であり、私たちがそこに適合していかねばならないことをRERは認識しています。これが保全、回復、社会的・経済的発展に対する私たちの考え方に最初から影響を与えています。そして、環境とかかわるすべての人々と連携し、あらゆる利害を調整する必要があることも意味しています。
このように、RERには連携が必要であり、私たちが採用している環境保護の取組みは、あらゆる観点を検討し、環境からコミュニティ、経済まで多くの目標の間で、確実にバランスを取るための適応過程なのです。この連携的な取組みが、インドネシアの森林における長期的な持続可能性には不可欠だと考えています。
要約するならば、コミュニティ、国、当社の「WIN-WIN-WINの関係」とは何かをわかりやすく説明するものがRERだと考えています。当社のパートナーは、RERを生きた実用的な設計図であると評価し、強いパートナーシップとビジョンによって他の公共および民間セクターの組織が幅広く達成していけるものを発展的に示す例であるとしています。
RERと環境保護の取組みの活用から得た知識が当社の保全地区全体でも活かされるよう望んでいますし、他社が後に続くような成功事例となることを願っています。
RERに関する詳細: http://www.rekoforest.org/